こんにちは!(こんばんは、おはようございます)
Wind Band Press編集長の梅本です。
2022年2月4日、文部科学省が、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が拡大している状況を受けて、学校における合唱や管楽器演奏、調理実習などについて各都道府県の教育委員会に自粛要請を出しました。
これを受けて合唱部や吹奏楽部は再び活動休止になっている学校も多いようです。
公立学校はほぼ要請に従う形ではないでしょうか。私立でも自粛をする学校もあるでしょう。
こうなると特に若い生徒さんたちのメンタルが気になるところですが、最初の緊急事態宣言からもうすぐ3年目になります。
若い人だけでなく、大人のメンタルも結構キツイのではないでしょうか。
Wind Band Pressでは一昨年と昨年に、少しでも心が楽になればと、下記のようなインタビュー特集を組んでいます。
ほかにもコロナ関係ではいくつかの編集長コラムも書いたりしました。
【編集長が最近思うこと】バーンアウト(燃え尽き症候群)にならないために・立ち直るために
【編集長が最近思うこと】コントロール出来ないことで悩まずに焦らず生きる
【編集長が最近思うこと】自分で(自分たちで)目標を見つける方法
ブログではメンタルがキツイときの連絡先もまとめています。
心がしんどいときに相談できたりする窓口一覧【おもに新型コロナウイルス関連、10代向け】
このあたりの記事も読んでみても良いかなと思うのですが、今はまた状況も違いますからね。
感染力が強く感染者数も過去最高ということらしいので不安も今までより強いでしょうし、症状が軽い人の割合が多いといっても分母が大きいので重症者の数は分母のぶんだけ増えます。
状況が違うので、最新のガイドラインや要請に従うのが得策というか、仕方ないというか、例えば市区町村や教育委員会、学校が決めたことであれば、個々人でコントロール出来る範囲を超えていますから、どうしようもない部分はあります。
やりたいことが出来ない閉塞感や不自由さを感じる状況はストレスフルですが、部活動や社会人バンドなどは「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という代替案すらないので、一層辛いのではないかと思います。
■心の灯火は消さない
そんな中で、年齢関係なく、愛好家が個人で出来ることは、「活動できなくても心の灯火は消さない」ことかなと思っています。
心が折れそうですし折れている方もいらっしゃると思いますが、生きていればどこかで吹奏楽や楽器と関係ないところでも心は折れます。勉強でも仕事でも人間関係でも。
そのたびに折れた心をつなぎ直して、なんとかかんとか生きていく。生きてこそ、出会えるものがあるからです。生きてこそ見える景色もあります。そうやって生きていく背中を見せていくのが大人の役割かな、とも思います。
生徒さん、特に中学校や高等学校での最上級生ともなると、「いま活動できなければもう今の学校では活動できない」、そんな生徒さんも多いと思います。
そういった方々に「心の灯火は消さないで」と言っても、なかなか難しいのかなと思いますが、例えば「高校に進学したらまた吹奏楽やるぞ」とか、「卒業したらまた別の場所で吹奏楽やるぞ」とか、「演奏活動は出来ないけど友達と吹奏楽談義をするぞ」とか、そういう小さな火でもいいので、どうか手放さないでいてほしいと願うばかりです。
僕は大事なことはだいたいロックから学んでいるのですが、吉井和哉さんの「トブヨウニ」という曲の歌詞で、「捨ててしまったもの 戻ってこないけれど 無くしてしまったものは急に返ってくることあるんだぜ」というような箇所があります。
どうか火を捨てずに、無くしても構わないから捨てずにいてほしいと思うのです。自分で捨ててしまったものは戻ってこない。
またいつかひょっこりタイミングが合ったときに、火を燃え上がらせましょう。その時のために取っておいて欲しいですね。
■時間をどう使うか、距離をどう取るか
その灯火を小さくなんとか保つために必要なのが「余白」です。「心の余裕」と読み替えてもいいです。
政府、自治体、教育委員会、学校、先生、もしくは部活のメンバー、家族、色々ありますが、そういった方々の心に働きかけることは出来ても、彼らが何を考えどういう感情の状態にあるか、また彼らがどう行動するかを自分の側でコントロールすることは出来ません。
コントロール出来ないことに噛み付いたり怒ったりすると、すごくエネルギーを消費します。
喜怒哀楽のうち特に怒りは、すぐに心のキャパシティをいっぱいにしてしまって、心に余裕がない状態になってしまいます。
火が燃えるには酸素が必要だとかそんなことを昔習ったような気がしますが、心の余裕、余白は、心の灯火にとっての酸素のようなものです。
怒りで心のキャパシティをいっぱいにしてしまい、心の余裕を失うことが続けば、やがて灯火も消えてしまうように思います。
Twitterなんかでしょっちゅう怒り狂っている人にNetflixを与えると怒らなくなる、という面白い話があります。これは、怒るヒマを与えないということですね。
ヒマが有り余ると、ついつい何かに噛み付いたり怒ったりしてしまうことがあります。
もし吹奏楽などの活動ができないことに対して怒ってしまうようであれば、逆に吹奏楽などから少し距離を取る、考えない時間を作ることも大事です。
ゲームでも、You Tubeでも、テレビでも読書でも友達との電話でも他の趣味でもなんでも良いのですが、一旦離れる時間を毎日の中で確保してみましょう。
今日も夕日が綺麗で、夕日に照らされた雲の美しさに見とれていました。近所の野良猫がシタタタタと走るとかわいいです。
心に余裕がないと空を見上げることすらしないかもしれませんし、夕日を見ても何も思わないかもしれません。猫にすら「この猫がッ!」と怒りを覚えるかもしれませんね。
そういう余裕が自分の中にあるのかないのか、日々の生活の中から確認してみるのも良いでしょう。余裕がないのであれば、何か時間の使い方や、吹奏楽などとの距離を考えてみましょう。灯火を消さない程度の絶妙な距離を探るのです。
■幸せは歩いてこない
これはロックなのかどうか、まあ僕の中ではロックですが、「365歩のマーチ」という歌に「幸せは歩いてこない だから歩いてゆくんだね」という箇所がありますね。
「余白」が出来ると、つまり心に余裕が出来ると、歩いてゆくことができるようになります。
逆説的ですが、一旦余白を確保することで、あらためて「この状況の中でどう吹奏楽(など)と付き合うか」を考えることが出来ます。
例えばCDを聴くとか。クラリネットの方であればプロのクラリネット奏者のCDがたくさん出ていますから、色々と聴いてみて、「自分はどんなところが好きだったか」「どんな音が出したいのか」「どんな表現力を身に着けたいのか」ということを書き出してみるのも、付き合い方の一つでしょう。そのうちレビューを書くのが好きになるかもしれません。
CDを聴いたりコンサートに行ったりすると余計に楽器を演奏したくなるので感情のコントロールが難しいところですが、余白ができたらそうやって近づいていくのもありかな、と思います。
演奏したい、合奏したいという欲求がどれだけ強くても、その場がなければ出来ないことなので、出来ないことに怒るより、出来ることを探していく。そのための余白だと考えてみて下さい。学年によってはすごく焦るでしょうけど、こういう時期なりの、自分なりの付き合い方を探していくしかありません。余白のある状態で好きなことに関わっていれば、心が疲れることもないでしょう。なんといっても余白があるわけですから。
逆に、「新しい付き合い方を模索する時間が出来た」と考えるほうが建設的です。でも疲れてきたら少し離れてみて下さい。
僕がこういう仕事を始めたのも、その時の状況なりの僕なりのクラシック音楽との付き合い方です。付き合い方は様々です。
でもいつかまた機会が巡ってきたら、クラリネットを吹きたいなあとは思っています。
これを読んでいるあなたと一緒に演奏する機会もあるかもしれませんね。とても楽しみなことです。でもその「楽しみだ」という感情も、心の灯火がなければ生まれません。
しんどいとは思いますし、僕に世界を動かす権力がないことが悔やまれますが、どうか、どうか。その心の灯火を、大切に。怒りや焦りで消してしまわないように。
若い生徒さんに、「頑張りましょう」「頑張れ」とは言いません。すでに充分頑張っておられるでしょうから。ただ、おそらく、身近なところで頑張っている大人がいますので、彼らの背中を見ていてください。
もし頼りがいのありそうな背中をした大人がいれば、彼らに話を聞いてもらったりするのも良いかもしれません。SNSなんかに愚痴を書くと、その自分が書いたテキストを自分の脳が認識して、よりネガティブな思考になりますので、注意しましょう。話してスッキリするのが一番です。
最後に、もう一度上記のリンクを置いておきますね。余白を作るためと思って、部活のことは忘れて一旦無心で読んでみて下さい。
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